一年の仕事を整え、次の循環へ
一年の終わりが近づくと、現場の音も少しずつ落ち着き、日々の仕事が静かに整っていくのを感じます。
私たちが担っている水と暮らしを支える仕事は、目立つものではありませんが、生活排水などを適正に処理し、自然へと戻していく、地域の暮らしに欠かせない役割です。今年もまた、設備の性能を適切に維持し、大きなトラブルなく日常を守り続けることができました。その積み重ねこそが、何よりの成果であったと感じています。
澄んだ空気が足元から整い、時間の輪郭が静かに結ばれていきます。
人口減少や高齢化が進むなか、施設の使われ方も多様になり、インフラを支える仕事の重要性はますます高まっています。一方で、水や衛生に関わる業務は、異常や故障を未然に防ぐことが役割であるため、「何も起きないこと」が成果として見えにくい仕事でもあります。それでも、日々の点検や小さな判断の積み重ねが、地域の安心な暮らしを支えてきました。
しかし、その静けさの中に、次へつなぐための課題も浮かび上がります。
その課題は、技術そのものよりも、経験や判断の背景、仕事に向き合う姿勢をどう次の世代へ伝えていくかという点にあります。浄化槽の設置や維持管理は専門性が高く、日々の経験は言葉にしづらいものです。だからこそ、研修の機会を設け、保守点検・清掃・法定検査の三業種が同じシステムを使い、記録や情報を共有することで、知見の継承と業務の見える化を進めています。
声を重ね、共に整える時間が、少しずつ形になってきました。
一年を振り返り、仕事を言葉にして整えること。年末を単なる区切りではなく、次の一年へつなぐ循環点と捉え、すでに次年度への準備も始めています。保守点検と清掃がしっかり連携し、実態に即した維持管理を行う姿勢が、信頼を育て、協力の土台を支えます。その地道な積み重ねが仕事の質を高めていきます。
整った先で、想いが澄み、理念が静かに息づきます。
浄化で共生を支え、純化で創造を繋ぐ未来へ。浄化槽汚泥は適切に処理され、液肥として活用されるなど、いのちの循環の一部となっています。水質を守り、施設を長く大切に使うことは、地域と人、そして次の世代への責任でもあります。
小さな努力が重なり、未来の景色をそっと照らしていきます。
そして最後に、本年一年を通じて支えてくださったすべての皆さまへ、心より感謝申し上げます。地域の皆さま、関係機関の方々、そして現場で日々仕事に向き合ってきた一人ひとりの力が、変わらぬ日常を支えてきました。その積み重ねに感謝を込めて、整えた仕事を次の循環へとつなぎ、来る年も誠実に責任を果たしてまいります。
令和7年12月26日
専務取締役 高橋 剛