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浄思録18──浄化槽法第7条検査

~地域の水を守る、最初の「健康診断」~

新しい浄化槽が設置され、暮らしの水が流れはじめる瞬間は、静かな“デビュー戦”の幕開けでもあります。
しかし、その浄化槽が本当に設計どおりの性能を発揮しているか、誰がどのように確かめるのでしょうか。

浄化槽は「設置したら終わり」ではなく、微生物が定着し、適正に動き出した時点で初めてその真価が問われます。
そこで登場するのが、浄化槽法第7条に基づく「設置後の水質検査(7条検査)」です。この検査は、使用開始後3か月から8か月の間に受けることが法律で義務付けられています。
この時期に行う理由は、設置直後には不安定だった微生物の働きが安定し、本来の処理能力が発揮されるタイミングを見計らうためです。
この検査により、施工の不備や初期段階の機能障害を早期に発見し、是正することが可能になります。

しかし、この仕組みは説明が不足すると誤解を生みやすいものです。「定期的に保守点検や清掃業者に来てもらっているから、検査は不要ではないか」という声も聞かれます。
ここで重要になるのが、それぞれの業務の役割の違いを正しく理解することです。 専門的な言葉で整理するならば、保守点検や清掃は、日常的に機器を調整し汚泥を取り除く「日々の健康管理」にあたります。対して法定検査は、それらの管理が正しく行われ、放流水質が基準を満たしているかを、都道府県知事が指定した第三者機関(指定検査機関)が客観的に判定する「健康診断」です。

この検査結果は、指定検査機関から都道府県知事(保健所)へ報告されます。
もし検査を受けない場合、行政は台帳整備や指導の仕組みを通じて、受検するよう指導・助言、あるいは勧告を行う権限を持っています。
これは、個人の敷地内にある設備であっても、そこから出る水は地域の共有財産である川や海へ繋がっているためです。

仕組みが正しく機能し、三者(保守点検・清掃・検査)が連携することで、地域の水環境は守られます。
公平・公正・透明な視点で“最初の確認”を済ませることは、浄化槽を責める行為ではなく、地域と水を守るための礼儀のようなものです。
そのたった一回の受検が、やがて川の表情と暮らしの安心を、静かに、しかし確実に変えていくのです。